hagino3000's blog

平成アーカイブス (更新停止)

破滅と節税と荒川智則

skypeチャットで書いた事をまとめつつ、いろいろ補足を追加した。

前提として、会社勤めしながらそれとは別に原稿収入があるけど確定申告はしていないし、税金とかよくわかんないという破滅クルー向けに書いてある。質問は荒川智則チャット等でどうぞ。

原稿料の源泉徴収分って何??

例えば雑誌の原稿料を貰う場合、実際に口座に振り込まれるのは約束した原稿料から10%引かれた額になる。この10%は所得税源泉徴収分にあたり、原稿料を貰うと同時にそれにかかる所得税を支払っている事になる。

所得税額の確定

会社勤めをしている場合、毎月の給料からも所得税源泉徴収はされている。この額は給与明細を見ればわかる。しかし、年間で給与から支払うべき所得税の額は、12月の給与が出るまで確定できない。所得税はその1年(1月~12月)の所得に対して発生する。
その年の給与所得と所得税を確定させるのが年末調整。毎月の源泉徴収は多めに取っているので、年末調整で払い過ぎた分が戻ってくる。年間でどれだけの所得税を支払ったかは、源泉徴収票に書いてある。

所得とは

収入から控除額と必要経費を引いたもの。年末調整で、扶養者や配偶者の有無を申告するのは、控除額を決定するため。給与所得の場合、必要経費は給与所得控除という名目になっているので、次の式になる。

  給与所得 = 収入 - 控除額

扶養者がいると控除額が増える(所得が減る)=所得税も減る、なのでちゃんと申告しましょう。一番簡単な節税は使える控除は忘れずに全て申告する事。
所得金額から差し引かれる金額(所得控除)|所得税|国税庁

所得の種類

会社勤めをして、会社から給与という形で貰うのが給与所得。それとは別に雑誌で記事を書いて直接出版社から原稿料を貰った場合は雑所得。個人で各所得の全てを合算したのが総所得。

確定申告

個人として、その1年間の所得を確定させるのが確定申告。会社勤め+雑所得が20万円以下の場合は確定申告をしなくても良いが、それ以上ある場合は確定申告をする必要がある。

2 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
No.1900 サラリーマンで確定申告が必要な人|所得税|国税庁

確定申告で所得を計算した結果、追加で納税が必要な場合と還付金が得られる場合がある。例えば、年間の原稿料が20万円で2万円の源泉徴収があった場合。雑収入に対する経費を20万円計上すると、雑所得がゼロになり、源泉徴収された2万がそのまま返ってくる。また医療費が10万円以上かかった場合に受けとれる医療費控除は、年末調整で処理できないため、確定申告をする必要がある。

破滅と節税

確定申告で経費を計上すると所得が減って、税金も減る。というのがここまで。そして、誰得全損の精神で活動する破滅クルーで特に有効になるのが事業所得でマイナスを出して総所得を減らすという手法。決して黒字になる事は無い破滅の活動*1で、給与所得により発生した所得税を減らす事ができる。

事業所得とは

継続的な事業として活動しており、その活動によって発生した所得がこれにあたる。事業内容を決めて、税務署に行って個人事業主登録をする必要がある*2。事業所得と給与所得で違うのは、事業所得を算出する時に必要経費が計上できる事。必要経費が収入を越えていれば、事業所得はマイナス値を取る(赤字)。

  事業所得 = 収入 - 必要経費

(2) 必要経費

 必要経費とは、収入を得るために直接必要な売上原価や販売費、管理費その他費用のことをいい、例えば、次に掲げるようなものがあります。
 なお、家事上の経費は必要経費になりませんが、家事上の経費に関連する経費のうち、事業所得を生ずべき業務の遂行上必要である部分を明らかに区分することができる場合のその部分に相当する経費の金額は必要経費となります。

イ 売上原価
ロ 給与、賃金
ハ 地代、家賃
ニ 減価償却

No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)|所得税|国税庁

破滅ラウンジ台湾までの交通費はもちろん、自宅で開発したり原稿を書いているのなら家賃の何割かも計上できる。忘れずに領収書は保管しておく事。クレジットカードの利用履歴もプリントアウトしておく。

損益通算とは

ある所得で発生したマイナスで、総所得を減らす事。雑所得ではこれができないが事業所得なら可能。
No.2250 損益通算|所得税|国税庁

つまり、経費を積んで事業所得で50万円の赤字を出すと、総所得が50万円減り、その分所得税が減る。50万円減らせば、人にもよるが所得税が5万円は戻ってくるはず。

個人事業主登録をする際の注意

個人事業主登録をしていると会社をクビになっても失業保険の給付がもらえない。(失業状態にならないため。)

ついでに青色事業者登録もしておくと、青色申告ができる。青色申告をしておくと、事業所得の控除額が65万に増えたり損失の翌年繰越ができたりする。記帳に抵抗が無いなら青色にしておけば良い。

住民税

住民税は前年の総所得を元に計算されるため、損益通算で総所得を減らしておくとこれも減る。

まとめ

節税に力を入れてもそんなに得られる物は無いし(MAXでも所得税と住民税がゼロになるだけ)、適当にやってあとは本業をがんばった方がいいんじゃないすかね。

*1:カオスプロキシを設置するために台湾まで行く、等

*2:書類一枚書くだけなので10分で終る